
はじめに:議事録作りという「無駄」からの解放
「あの会議で、クライアントは何て言ってたっけ?」 「電話で合意した言った言わないの水掛け論」
これらはビジネスにおいて最も不毛な時間の一つです。 私も以前は、会議中に必死にキーボードを叩き、大事な電話のときはメモ帳を探して慌てふためいていました。
しかし、あるガジェットをiPhoneの裏に貼り付けてから、そのストレスが消滅しました。 今回ご紹介するのは、ChatGPTと連携して「録音・文字起こし・要約」を全自動で行うAIボイスレコーダー、**『PLAUD NOTE(プラウドノート)』**です。
Kickstarterで大成功を収め、日本でも品薄が続いたこのデバイス。 実際に数ヶ月使い込んでわかった「凄まじい実力」と、逆に「ここは注意」という点を、ガジェットブロガーの視点で徹底レビューします。
外観とデザイン:ガジェット欲を刺激する「薄さ」
まず、箱を開けて驚くのがその薄さです。 厚さはわずか2.99mm。クレジットカード約2枚分しかありません。 重量も約30gと非常に軽量で、胸ポケットに入れても存在感を忘れるレベルです。
最大の特徴は、付属のMagSafe対応ケースを使ってiPhoneの背面にピタッと吸着できること。 これまでのボイスレコーダーは「持ち歩く」ものでしたが、PLAUD NOTEは「スマホの一部になる」デバイスです。 「あ、レコーダー忘れた」という事態が物理的に起こり得ない。この常時携帯できるデザインこそが、PLAUD NOTE最大の革命かもしれません。
機能:最強の「デュアル録音モード」とは?
PLAUD NOTEには、側面のスイッチ一つで切り替えられる2つの録音モードがあります。これが本当によく考えられています。
1. 空気伝導モード(スイッチ下)
通常のボイスレコーダーと同じモードです。 会議室やセミナーなど、周囲の音を拾いたい時に使います。高品質なデュアルマイクが搭載されており、騒がしいカフェでも、自分の声と相手の声をクリアに分離して録音してくれます。
2. 振動伝導モード(スイッチ上)
これがPLAUD NOTEの真骨頂、**「通話録音」**モードです。 特殊な振動センサー(VCS)が搭載されており、スマホの内部スピーカーから伝わる「振動」を直接録音します。 これにより、iPhoneの厳しいプライバシー制限をハードウェア側でクリアし、LINE通話やZoom、通常の電話など、あらゆるアプリの通話音声を、相手に通知することなくクリアに録音できます。
「電話しながらメモを取る」というマルチタスクから解放される快感は、一度味わうと戻れません。
AIの実力:OpenAI「Whisper」×「ChatGPT」
録音したデータは、Bluetoothでスマホアプリに転送し、クラウド上で処理されます。
文字起こしの精度
文字起こしエンジンには、OpenAI社の**「Whisper」**が採用されています。 実際に使ってみると、専門用語が飛び交うIT系の会議でも、90%以上の精度で認識してくれました。 「えー、あー」といったフィラー(言い淀み)を自動でカットして整文してくれるので、読みやすいテキストが瞬時に完成します。
ChatGPTによる要約
さらに凄いのが、文字起こし後の「要約」です。 ただ短くするだけでなく、以下のような形式にワンタップで変換してくれます。
- 会議議事録: 議題、決定事項、ネクストアクションに整理。
- マインドマップ: 話の構造を視覚化。
- クラスノート: 講義の要点を箇条書きに。
例えば1時間の会議が、ものの数秒で「読むべきポイントだけ」に凝縮されます。これにより、会議に出席していない人への共有もURLを送るだけで完了します。
バッテリーとサブスクリプション
バッテリー持ち
公称値で連続録音30時間、スタンバイは60日間です。 実際に1日2〜3時間の会議で使っていても、充電は週に1回程度で十分持ちます。いざという時は録音しながら充電も可能です。
気になる料金プラン(2026年時点)
本体を買えば終わりではありません。AI機能を使うには「PLAUD AI」プランへの加入が必要です。
- スタータープラン(無料): 本体購入者に付与されます。毎月**300分(5時間)**まで文字起こし・要約が無料です。 ライトユーザーならこれでも十分ですが、毎日会議がある人には足りないかもしれません。
- プロプラン(年額16,800円 / 月額3,000円): 毎月**1,200分(20時間)**まで利用可能になります。月額換算すると約1,400円程度なので、文字起こし外注のコストを考えれば破格です。
- 無制限プラン(年額40,000円): ヘビーユーザー向けの実質無制限プランもあります。
正直なデメリット・注意点
絶賛してきましたが、弱点もあります。
- イヤホン通話は録音できない 「振動伝導モード」はスマホ自体が振動している必要があるため、イヤホン(AirPodsなど)を使って通話していると、相手の声が録音できません。 通話録音をする際は、スマホを耳に当てるか、スピーカーフォンにする必要があります。
- オフラインではAI機能が使えない 文字起こしや要約はクラウド上で行うため、インターネット環境が必須です。
- 本体の質感が良すぎて滑る アルミ合金のボディは高級感がありますが、サラサラしているので手から滑り落ちそうになることがあります。MagSafeケース運用が基本なので問題ないですが、単体で持つときは注意です。
まとめ:これは「外部脳」である
PLAUD NOTEは、単なるボイスレコーダーではありません。 「聞き逃し」と「書き漏らし」という人間の脳の欠陥を補完してくれる、外部脳のようなデバイスです。
- 会議の議事録作成に時間を取られている人
- 電話での言った言わないトラブルを避けたい人
- 商談の内容を漏らさず記録したい営業職
これらに当てはまるなら、約2.7万円(+サブスク代)という投資は、わずか数ヶ月で回収できるでしょう。 「記録」をAIに任せて、人間は「思考」と「会話」に集中する。そんな新しいワークスタイルを、ぜひこの薄いカードと共に始めてみてください。

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